ファーストキャリアで意識すべきは「周りとの差別化」――MY CARRER SHEET~成長ベンチャー企業のトップ層はこんな人!~【役員 川合友樹編:前編】

「成長しているベンチャー企業のトップ層ってどんな人たち?」
そんな疑問にお答えする、L&E Group(旧リンクエッジ)の経営に携わる役員陣の人柄・キャリアをインタビュー形式で紹介する『MY CARRER SHEET』シリーズ。
初回は人事部長、営業マネージャー、新規事業立ち上げと多方面からL&E Groupの成長を加速させている、現マーケティング部長・執行役員の川合友樹さんをご紹介します!

※VC…ベンチャーキャピタル(Venture Capital)。高い成長が期待される未上場の新興企業(ベンチャー企業)に出資し、株式を取得する組織のこと。
「周りと同じ」に違和感。好奇心を尊重した就職活動
――大学時代はどのような学生だったんですか?
岐阜県の公立高校を卒業して慶應義塾大学の経済学部に入学しました。数学が得意で、サークルはESSに入っていて…というような、田舎から出てきた普通の大学生でしたよ。
ですので就活も本当にありがちと言いますか、周りの慶應生に流されて銀行や商社、メーカーあたりの日系大手企業を受けていました。やりたいことや企業選びの軸はそこまで明確ではありませんでしたね。
裏を返せば「どんなことでもやってみたい」という考えではあったので、就活自体はスムーズに進み、内定をいただいた企業もありました。
――他社からの内定があった中、なぜ新卒でVCへ入社という、当時では珍しい選択をされたんですか?
周りに流されながらやっていたとはいえ、「本当にこれでいいのかな?」とどこか違和感はあったんですよね。そんなもどかしさを感じていた頃に、現L&E Group社長である兄・川合幸治からベンチャーキャピタル(以下、VC)業界を勧められたんです。
兄は私と正反対の性格で自分を強く持っていて、私が周りと同じような就活をする傍ら、学生当時から起業を志していました。就活でもITベンチャーを中心に見ていて、その流れでVC業界の情報を得て私に教えてくれました。私自身そのタイミングで初めてVC業界というものがあるんだと知りまして、そこから説明会に参加したのですが、非常に面白そうな仕事だと思ったんですよね。
また、VCに入ればファイナンスの専門知識を習得することができます。兄の会社をいずれは手伝えたら…なんて想いも芽生えまして、であれば何かしらの専門性は身に付けたいなと思い、ファイナンスの知識を得てCFOとして参画できるかもという考えもありました。
とはいえ当時VC業界はまだあまり知られていませんでしたし、別の企業からの内定をお断りして入社するという選択だったので、周りからは驚かれましたね。私もそれなりの不安はありましたが、専門性がつくことと、なにより好奇心が勝って入社を決めました。

☝L&E Group川合幸治社長とは実の兄弟!
リーマンショックの悲劇に見舞われながらも、若くからレアな経験ができた新卒VC時代
――兄である川合社長から影響を受けての新卒入社となりましたが、どんな業務に携わったんですか??
日本アジア投資株式会社で1年目は営業担当として、様々なベンチャー企業の社長にお会いし、投資の提案をしていました。しかし、色々な企業の話を聞けて興味深かったのも束の間、半年程経つ頃にリーマンショックが起きてしまったんです。
――入社した途端にリーマンショックとは、かなり打撃だったのでは?
はい。大きい投資先が倒産したり投資凍結になったりして業績不振になってしまったので、なかなか苦い経験だったなと思います。
しかし、それが転機にもなりました。新卒2年目を迎え、投資先に出向することになったんです。私がいた部署では出向を、ましてや2年目でするようなことは通常ほぼなかったのですが、リーマンショックで異例の状況となっていたため実現しました。まだまだ不況で投資活動があまりできませんでしたから、出向は良い経験になりそうだなと思いましたね。
BtoBのカタログ通販を行っている企業へ2年間出向しまして、その中で新規事業の立ち上げに携わりました。その0から1を作るという経験が、非常に楽しかったんです。初めは上手くいかず撤退する流れになりかけたのですが、交渉しながらなんとか継続し、最終的には黒字化させることができました。
――出向先で事業を創る楽しさを感じられたんですね。その後転職するに至った経緯を教えてください。
帰任してからはまた投資活動を始めました。台湾の小売企業への出資・IPOなども経験しまして、投資の楽しさも改めて実感していたところではありましたね。
ただ、また違和感があったんです(笑)「VCって評論家だな」「投資先を批評しているけど、自分がやったことないのに評論しているな」と。自分で事業を立ち上げる経験をしたからこそ、そう思うようになったんでしょうね。
外からの支援を行い続けるよりも、主体的に事業を立ち上げる楽しさをまた感じたいなと思い、転職をすることにしました。
――「評論家」という表現は言い得て妙ですね…!
コンサルや銀行にも言えることかもしれませんが、事業会社に対して外からサポートをする形のビジネスは、無意識のうちに上下関係を作り上げてあたかも自分たちが上の立場であるかのように錯覚してしまいかねません。どのように事業を行っているのか、そしてその難しさをよく理解していない人間が、果たして正しくサポートできるのかという疑問が浮かびます。
また、自分で事業を動かす経験をしなければ、ビジネスにおける真の実力もつきづらいです。新規事業の立ち上げは想像以上に難しく、何も整っていないカオスな環境の中でPDCAを何回も回しながら売上を生み出す必要があったので、大変ながらもビジネスマンとしての実力や自信を培うことができたなと思います。
ですので、特に新卒なら、評論家になるのではなく自分でビジネスを動かす経験を早期にしてほしいですね。

☝バックパッカーでインドに行くなど、学生時代から好奇心と行動力の塊!
インパクトの大きい仕事に携わりながらも、この先の未来を案じていた商社時代
――転職後はどのような業務をされていたんですか?
投資経験を活かしつつ事業創出もしたいと思ったので、事業系のファンドや商社を見ていて、ご縁あって丸紅株式会社に入社することになりました。ライフスタイル部門という繊維・資材を担当している部署へジョインしました。
投資チームへの採用だったのですが、まだ社会人5年目でしたし、「現場のことをちゃんと理解しておきたいな」と思い、自ら志願してまずは営業担当をさせてもらいました。アパレルから防衛装備品まで多岐に渡る繊維を取り扱う部門で、こんな世界もあるんだなぁと純粋に驚きましたね。
2年ほど営業に従事した後に投資チームの方に異動しました。そちらでは主に海外案件を担当し、トルコとイギリスにオフィスを持つ会社などへ投資を行っていました。100億円規模のM&Aを主担当として実行したりもしましたよ。
――扱う案件の規模感が一気に大きくなった印象ですね。
そうですね。創業後長い歴史の中で数千もの案件を動かし信頼を勝ち取ってきた企業だからこそできるインパクトの大きい仕事はやはりやりがいがありましたし、複数の部署と連携を取ることで段取り力や調整力といった汎用的なスキルが身についたことも良かったです。
ただ同時に、組織体制についても「古くからある大企業だなぁ」と思ったところがありました。
M&A案件を担当した時の話ですが、稟議を通すだけでも2年ほどかかったんです。何人もの役職者たちの決裁が必要で、社内政治的な理由であったり部門の立場的な理由であったりで途中何度も否決されかけました。100億円規模の案件自体は社内では珍しいことではないものの、少々規模が大きく部門の中でも重要視されていたので、とにかく時間がかかって苦労しましたね。
また、業務効率化のスピード感も相当遅いなという感覚でした。AI・IoTという言葉を筆頭にデジタル化を進める動きを社内で謳ってはいたものの、とにかく資料は紙だらけ。深夜まで資料をホッチキスで留める作業をして…なんて地道な思い出もあります。複数の案件を同時並行で進めていますのでなかなか大変でしたね。
人数の多い会社で、かつ長くやってきたやり方を変えるとなると、どうしても時間はかかってしまいます。しかし、テクノロジーの進化スピードはどんどん早まっている。そんな状況で、「時代に乗り遅れてしまわないか」という心配を心の奥で感じていました。
――大企業ならではのジレンマですね。L&E Groupへの参画はそんな時だったのでしょうか?
タイミングとしては、投資を3年ほど担当し、再び営業部署へ戻った時でした。川合社長から「会社を手伝ってくれないか?」と直々に連絡をいただいたんです。
その頃L&E Group(当時リンクエッジ)は一気に売上が拡大し従業員数も増えた急成長フェーズ。一方私自身は結婚をして子どももいて、来年には海外の投資先へ駐在かもなと予想していた頃で、転職は全く考えていませんでした。
しかし社長から詳しく話を聞いてみると、「あ、これは本気で来て欲しいと思っているな」と感じましたし、自分事として事業を創り成長させていく面白さを想像することができました。また、新卒時に考えていた「いつか兄の会社を手伝いたい」という想いもそこで思い出したんですよね。
年齢的にも今回が仕事を大きく変える最後のチャンスだと思ったので、家族と何度も話し合いをし、意を決してベンチャー企業L&E Groupへと転職しました。

――事業創造の魅力や昔掲げた目標が背中を押してくれたんですね。とはいえ、総合商社という誰もが羨むようなキャリアから離れることになります。迷いはなかったのでしょうか?
たしかに当時は、大企業ゆえの組織文化に息苦しさは感じつつも、やりがいのある仕事をさせてもらっていました。給与や安定性も申し分なかったと思います。ですので迷いが全くなかったといえば嘘になります。
しかし、「5年後・10年後に面白い仕事ができているか?」という視点で考えた時に、L&E Groupに行った方が面白そうだと思ったんですよね。もちろんただの好奇心だけでなく、この変化の早い現代でスピ-ド感を持って意識決定・実行を行う経験は、今後もビジネスの世界で戦い続けるためには重要な要素になるだろうとも思いました。
目先の利益や安定よりも、将来を見据えて、高スピードで成長している業界・企業でビジネスをして成長することとその面白さを選んだわけです。
――常に主体性を発揮して「面白い」と思える道を選んできたということですね。
そうなっていますね。就職先を選ぶうえでは、自分なりのこだわり・軸を持って周りとの差別化を図ることが大事なのではないかなと思います。なぜなら、「周りと同じ」というのは必ずしも安心できる道というわけではないと考えているためです。
強み弱みや業務適性は人それぞれなので、周りの人たちと同じ会社が自分にも合っているとは限りません。また大勢に人気の業界・企業は新卒採用数も多いので、自分と同じようなスキルを持った人が市場に溢れ返ることになります。特に現代はAIなどテクノロジーの発展が目覚ましく、様々な業務がAIに代替され始めていて、大多数が持っているようなコモディティ化されたスキルはあっという間にAIに取って代わられてしまうでしょう。
ですので、こだわりを持たず「周りの人も受けているから」「内定が早めに出るから」などの理由で大多数と同じキャリアに進んで、自らコモディティ化された人材になりにいってしまうのは、非常に危険なことだと思います。自分の本心に従いながら他者との差別化を意識し、エッジの効いた経験をすることが重要ですね。

― 後編へ続く! ―